私はAWS SAP(ソリューションアーキテクト プロフェッショナル)に、791点(合格ライン750点)でギリギリ合格しました。総学習時間は約50時間、使った教材はCloudTechの問題集1本だけでした。体感は「ギリギリ」「もう受けたくない」でした。SOA(SysOpsアドミニストレーター アソシエイト)合格の19日後に受けてこれなので、「Associate 3つ持ちの連続受験」という最短ルートでもこの難しさです。
この記事では、競合記事63本と公式ファクトから「実際どれくらい難しくて、何時間かかって、どんな勉強パターンがあるか」を読者のレベル別にまとめます。
AWS SAP対策記事の一覧
この記事は AWS SAP(ソリューションアーキテクト プロフェッショナル)対策シリーズの1本です。
テーマ | 記事 |
|---|---|
試験の全体像 | |
難易度と勉強方法 | この記事 |
おすすめ教材 | |
サンプル問題 |
SAA(ソリューションアーキテクト アソシエイト)をまだ取得していない方は → SAA完全ガイド
→ この記事では「難易度と勉強方法」を掘り下げていきます。
SAPはどれくらい難しいのか
まずは「SAPはどれくらい難しいのか」という、一番気になるところから見ていきます。AWS公式の認定ページを読むと、難易度の情報は「カテゴリー: プロフェッショナル」という記載があるだけです。★3/5のような定量スコアも公式には出ていません。推奨される前提条件は「2年以上のAWS実務経験」です。とはいえPrerequisites(必須要件)のセクションはなく、SAA取得も公式要件ではありません。現行バージョンはSAP-C02(2022-11-15以降)で、旧版のSAP-C01はすでに受験できません。
公式が定量情報を出さない一方で、英語圏のコミュニティは「最難関」でおおむね一致しています。12認定保有者の cheesiong氏 は "the most difficult one among all 12 AWS certifications" と書いています。DigitalCloud.training でも "the most challenging AWS Certification" と並ぶ評価です。日本語では it_learning氏 が13認定を★5評価で1位に置く形です。791点でギリギリ合格した私の体感とも矛盾しません。nokonokonetwork の50件調査で48%が「難しい」と答えているのも、この空気とそろっています。合格発表のスコア画面で「え、これで通ったのか」と二度見したのは、この空気が私にも当てはまっているという実感でもありました。
採点方式のCompensatory(セクション別最低点なし、全体点で判定)の仕組みは → SAP完全ガイド の「試験の中身」を参照してください。
SAAとの難易度差を4軸で比較
「最難関」と言われても、SAAと比べて具体的にどう違うのかが見えないと準備しにくいです。そこで、問題文量・時間密度・サービス数・合格ラインの4軸に、ドメイン構成を加えた表で整理しました。
観点 | SAA-C03 | SAP-C02 | 差 |
|---|---|---|---|
問題文量 | 平均50-100字 | 200-600字+選択肢最大5行(cantabile.alhinc) | 問題文が2-6倍 |
時間密度 | 130分/65問=2分/問 | 180分/75問=2分24秒/問 | +24秒だが長文化で実質圧迫 |
サービス数 | 約130 | 約160(C01→C02で100→158、kuretom氏) | 約30増 |
合格ライン | 720/1000 | 750/1000 | +30点 |
ドメイン構成 | 5ドメイン「個別設計」 | 4ドメイン「複雑組織26%+新規設計29%+継続改善25%+移行20%の統合判断」 | トレードオフ判断力が必須 |
定量的な体感としては、sailor.sh が「SAP-C02はSAA-C03の約2-3倍の難しさ」と書いています。RedditのAWSCertificationsスレッド では、mrbiggbrain氏が「SAAの5倍、CLF(クラウドプラクティショナー)の20-25倍の知識量」と投稿しました。Sirwired氏は「3時間試験で終了時に7分しか残らなかった」と共有しています。体感ではありますが、合格者層の実感としては一貫した傾向です。
長文シナリオを前に、問われている要点・アーキテクチャ構成・制約条件の3点を紙に書いて整理する方法がtechblog.ap-com.co.jpで共有されています。また、選択肢の中から誤答誘導(distractor)を見抜く訓練(dev.to nainarmalik氏)もよく挙がる定番手法です。ここまで来るとSAAの延長線では太刀打ちできません。コスト・パフォーマンス・セキュリティのトレードオフを問う質的転換(t-shi氏、dasu氏)が本丸です。
長文問題を読みながら選択肢を何度も読み返し、「どれも正解に見える」と画面の前で手を止めた場面に何度も出くわしました。私の場合、時間配分の記憶はもう残っていません。ただし、最後まで詰まった感じはありませんでした。余裕もなかったので、「2分24秒/問」はあくまで平均値で、長文問題に吸われると後半がきつくなります。
不合格を分けるつまづきポイント
4軸で比較して「質的に違う」ところまで見えたので、次はその質的な違いが、不合格・ギリギリ合格の実例として体験記にどう現れているかを見ていきます。1回目で落ちる例は珍しくありません。aaron_b氏 は3回受験で合計200時間、kakerucc氏 は752点でギリギリ通過です。私も791点で合格ラインから41点差しかなく、ギリギリ組でした。
体験記を集計すると、つまづきの要因はおおむね4つに絞り込めます。
- 長文を流し読みしてしまい、選択肢を見て迷子になる(紙に書いて構造化するのが効く)
- 問題の解答を覚えて「理解した気になる」パターン暗記に逃げる(saito-tech氏「問題暗記とアーキテクチャ理解は別物」)
- 4つの選択肢が全部正しそうに見える(distractor認識訓練が必須)
- 1問で3-4サービス統合の判断が要る場面で、個別サービスの知識だけでは止まる
この4つは単独で効くというより、組み合わさって時間切れや誤答に繋がります。50時間/CloudTech 1本で791点というルートは、Associate 3つ持ちの前提があったから成立した最短形です。ただ、これをやるとやっぱりギリギリに着地する結果です。問題暗記に寄らず、アーキテクチャで考える訓練を足していれば、合格ラインの上に余裕が出たかもしれないと今は思っています。もし未経験で同じルートを歩こうとしたら、私はどの段階で詰まっていただろうか、とたまに考えます。
合格率の推定と受験判定基準
つまづきポイントが見えると、次に気になるのは「結局、合格率はどれくらいなのか」でしょう。先に結論を言うと、AWSは合格率を公表していません。公式情報としては存在しないので、ここからは推定の話になります。
ソース | 推定値 | 注意点 |
|---|---|---|
初回35-45% / 構造化学習55-65% / 3年経験+模試65-75% / 再受験60-70% | 「業界調査」出典、AWS公式データではない | |
初回合格率28%未満、再受験を含めても72%以下 | 最も厳しい見積り、模試未合格で受験した層を含む推定 | |
業界推定50-60% | 出典は業界推定 | |
50件調査で48%「難しい」評価 | 合格率ではなく難しさの感覚値 |
4ソースでもこれだけ幅があります。そこで現実解になるのが「合格率を気にするより、模試スコアで判定する」というやり方です。hooshter氏(Reddit) は「SkillBuildersのスコアが本試験とほぼ同じだった」と書いています。sailor.shのReadiness Benchmark も、模試スコアを5段階の準備度に結びつけた目安を出しています。
模試スコア | 準備度判定 | 推奨行動 |
|---|---|---|
60%未満 | 未準備 | 受験見送り、2週間追加学習 |
60-70% | 不安定 | 弱点ドメインを2-3週で埋める |
70-80% | 合格圏前半 | 時間管理の練習に移行 |
80-90% | 合格圏 | 受験予約可能 |
90%以上 | ほぼ確実 | 余裕合格狙い |

実例として、haruruyururi氏 はTD(Tutorials Dojo)模試を69%→73%→80%→85%と伸ばし、本試験直前77%で受験して876点合格です。「80%前後で安定してきたら予約」の目安がそのまま通っています。私は模試スコアを記憶に残していません。仮に80%超を確認してから受けていれば、791点のギリギリではなく、もう少し上で通せていたかもしれないと今になって感じます。CloudTech 1本で50時間の圧縮学習だと、そもそも模試判定する機会が少ないのも事実です。
私の模試スコアを遡ろうにも記録が残っていません。50時間の間は問題を消化するだけで手一杯で、スコアをメモする発想自体が抜けていました。
レベル別の勉強時間(7ルート)
受験判定の物差しが決まったところで、次に知りたいのは「どれくらい時間を投下すればいいのか」です。53件の体験記を「経験」と「前提資格」で並べ直すと、7つのルートに分かれます。
# | ルート | 時間 | 期間 | 典型例 |
|---|---|---|---|---|
1 | 極端短期(実務10年+) | 10-15h | 数日 | morimorihoge氏(10年+実務) |
2 | 再認定(実務あり+旧版保有) | 30-50h | 2-4週 | t-shi氏 48h/4週 |
3 | Associate複数保有・連続受験(PO型) | 30-50h | 2-3週 | PO 50h/SOA合格19日後、free-honda氏 45-50h/14日 DOP(DevOpsエンジニア プロフェッショナル)直後 |
4 | SAA保有・短期集中 | 35-60h | 2-3週 | Masaki_T氏 3週、51h合格事例など複数 |
5 | SAA保有・標準 | 80-130h | 1.5-2ヶ月 | gon3氏 100h、hooshter氏 790点2ヶ月 |
6 | 未経験・王道 | 150-250h | 3-6ヶ月 | sphere-net 3ヶ月、renn1018氏 3ヶ月、複数事例 |
7 | 長期・困難(複数回受験含む) | 150-200h | 3-5ヶ月 | aaron_b氏 200h/3回受験、leticiamassae氏 4ヶ月 |
7つからご自身に当てはまるルートを探すときは、3つの指標を押さえれば見分けがつきます。「実務経験の有無」「保有Associateの数(0/1/2/3+)」「1日に使える学習時間」の3つです。私はルート3(Associate複数保有・連続受験)に該当します。CLF/SAA/DVA(デベロッパー アソシエイト)/SOAを持った状態でSOA合格の19日後にSAPを受けたので、試験勘が維持されているうちに短時間で仕上がりました。ただし「もう受けたくない」の体感は、50時間で791点に詰め込んだ圧縮学習の代償だと思っています。圧縮学習の終盤、CloudTechを回す手よりも頭の方が追いつかなくなって、「これ以上詰めても身にならないな」と感じた瞬間がありました。未経験で同じ50時間を目指すのは無理があります。
勉強方法5パターンと公式4ステップ
時間の見積もりが立ったら、次は「何をどう使うか」です。63件の体験記は、使った教材で5パターンに分けられます。
パターン | 特徴 | 代表教材 | 向いている人 | 目安時間 |
|---|---|---|---|---|
(A) 問題集中心型 | 単一教材の反復周回、解説重視 | CloudTech / CloudLicense / Udemy模試 | Associate保有+短期集中 | 30-60h |
(B) ハンズオン中心型 | Builder Labs/SimuLearn/実機構築 | AWS公式+実機+TD模試 | 実務経験あり・手で動かしたい | 60-100h |
(C) 動画中心型 | Udemy Maarek 16h34m / Cantrill のコース完走+模試 | Maarek / Cantrill | 体系的に1周したい | 80-130h |
(D) 読書中心型 | 山下光洋本+問題集 | 参考書+Udemy/CloudTech | 書籍の方が頭に入る | 40-100h |
(E) 公式Skill Builder中心型 | AWS公式4ステップ+AI補助+公式模試 | Practice Question Set + Skill Builder + Practice Exam | 公式情報を軸に進めたい | 50-100h |
選び方はシンプルです。短期で問題数を回したい派は(A)、手を動かして理解する派は(B)、講義で体系化したい派は(C)、書籍で静かに進めたい派は(D)、公式教材で組み立てたい派は(E)になります。私はCloudTech 1本×50時間の(A)型でしたが、これはAssociate 3つ持ちの前提で成立した省エネ型です。未経験でやれば、ほぼ間違いなく落ちると思います。
5パターンのどれを選んでも、教材だけ並べて終わると抜けが出るパターンです。骨格としてAWS公式の「試験の準備をする」4ステップを押さえておくと、市販教材の使い分けが整理できます。
公式ステップ | 公式リソース | 市販教材で代替するなら |
|---|---|---|
1. 試験形式の問題を解いて試験内容を理解する | Official Practice Question Set(無料20問、Skill Builder経由) | Udemy模擬試験1回分 / TD Review 1 / CloudTech 1周目 |
2. AWSの知識とスキルをリフレッシュする | AWS Builder Labs / Cloud Quest / Jam | Maarek動画 / Cantrill / 山下光洋本 |
3. 試験のために復習および練習する | AWS Builder Labs / SimuLearn | TD模試全6回 / CloudTech 3-5周 / 問題集2周目以降 |
4. 試験の準備状況を評価する | Official Practice Exam(有料75問) | Official Practice Exam / Skill Builder模試 |
公式プランはravikant氏(AWS公式ブログ) の6 Specialty連続合格でも使われていて、コストも最小です。ただし無料のPractice Question Setは20問と量が少なく、Skill BuilderのUI評価は分かれます。私は公式4ステップを知らずCloudTech 1本で進めてしまったので、ステップ2の「リフレッシュ」がうすくなりました。ここをMaarekか書籍で補っていれば、791点ではなく、もう少し余裕があったはずです。合格してから公式ページの「試験の準備をする」セクションを読み返して、「こっちの順番で組んでおけば無駄が減ったな」と少し遅れて気づきました。
※ 具体的な教材の費用・問題数・カバレッジ比較は、おすすめ教材まとめ(C2の守備範囲)を参照してください。
タイプ別の最短ルート
7ルート×5パターン×公式4ステップの組み合わせを、読者タイプに合わせた「最短の組み合わせ」として整理します。
あなたのタイプ | 推奨時間 | 推奨パターン | 推奨期間 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
SAA保有のみ | 80-120h | (A)問題集+(C)動画の2本立て | 1.5-2ヶ月 | TD Bonso or CloudTech + Maarek 16h34m |
Associate複数保有(PO型) | 30-60h | (A)問題集中心、連続受験なら(E)公式追加 | 2-4週 | 試験勘が維持されているうちに受ける |
実務経験3年以上+SAAなし | 40-80h | (B)ハンズオン+(A)問題集 | 1ヶ月 | 実務で触れていないドメインに絞る |
未経験(AWS初心者) | 150-250h | (C)動画→(D)書籍→(A)問題集→(E)公式 | 3-6ヶ月 | まずCLF→SAAを経由するのが公式推奨 |
再認定(C02取得済で3年経過) | 30-50h | (A)問題集+(E)公式模試 | 2-4週 | 公式Exam Prep Planの新規モジュールを重点 |

未経験ルートについて少し補足します。公式にPrerequisitesはありません。renn1018氏(基本情報+応用情報持ちの新卒1年目)やnayuta_se氏(23歳SOC未経験3ヶ月)のように、CLF/SAAを飛ばして合格している実例はあります。ただし多くの体験記で「SAAを挟んだ方が結果的に早かった」と書かれています。費用面でも、SAP合格で50%割引バウチャーがもらえるので、段階的に進める方が結局は近道 です。Associate連続受験型は、私のようにSOA合格19日後にSAPを受験するパターンです。14日のリテイクルールは「不合格時のみ」適用されるので、別試験を続けて受けるのは問題ありません。SOAの合格メールを受け取った翌日にSAP受験の予約を入れたとき、「勢いで行くしかない」と私自身に言い聞かせた感覚が一番強く残っています。体力は削られます。
オンライン受験の落とし穴
タイプ別の組み合わせが決まったら、もう1つ押さえておきたいのが受験環境の話です。Paul Galow氏 がオンライン受験の具体的な注意点を共有しています。
- ワイドモニター使用不可(複数モニター・曲面モニター接続も不可、長い問題文が横に広がって読みにくい)
- ウェブカム1台必須(内蔵カメラのみ、監督官の確認で支障が出る場合あり)
- ESL(英語非ネイティブ)の受験者は +30分延長を事前申請できる(1度申請すれば以降も適用)
これらに加えて、180分は自宅で集中し続けるには長い時間です。長文シナリオが続く試験なので、途中で集中力が切れやすいオンライン環境より、テストセンターの方が向いているケースもあります。詳細はAWS公式 試験前ポリシーを参照してください。
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ここまでで「ご自身がどのレベルか」「何時間かかるか」「どんなパターンで勉強するか」「模試スコアで受験判定できるか」が見えてきたと思います。次のステップは、実際の教材選びと本試験レベルの問題演習です。