CLF(クラウドプラクティショナー)の次に取る資格を探しているなら、AWS SAA(ソリューションアーキテクト アソシエイト)が最有力候補です。IT経験があれば1〜2ヶ月、未経験でも3ヶ月の準備で合格を狙えます。
私はフリーランスのインフラエンジニアとして業務委託の書類選考を通しやすくするために、SAPまで取るつもりでいました。SAAはその最初の1つです。勉強は問題集だけ、約20時間で812点。SAAを含めてAWS認定は6つ取りましたが、振り返ると、SAAで問われる基礎の多くはCLFの範囲と重なっていました。
この記事ではSAAの全体像を一通り解説します。
この記事の構成
SAAの対策情報は、この記事(全体像)と3本の詳細記事に分けてまとめています。すでに知りたいことが決まっている方は、そちらから読んでいただいても大丈夫です。
テーマ | 詳細記事 |
|---|---|
勉強の進め方・学習ステップ | |
難易度・合格率・勉強時間 | |
教材の比較・選び方 |
CLFをまだ取得していない方は → CLF完全ガイド
SAAとは
まずSAAがどんな資格か整理します。AWS認定資格は12種類あり、Foundational・Associate・Professional・Specialtyの4レベルに分かれています。SAAはAssociate(中級)レベルに位置する資格で、AWSを使ったシステムの設計力を問う試験です。

CLFが「AWSの基礎用語を知っているか」を確認する試験なのに対し、SAAは「この要件でどのサービスを組み合わせるか」を判断できるかが問われます。同じ65問でも、求められるのは知識ではなく設計の判断力です。
AWS公式の表現を借りると、SAAは「コストとパフォーマンスが最適化されたソリューションの設計」に焦点を当てた試験です。
では、SAAを取ると何が変わるか。メリットは3つあります。
- AWSを使った設計・構築ができることの客観的な証明になります
- エンジニアの転職市場でCLFよりも評価が高い資格です
- SAP(ソリューションアーキテクト プロフェッショナル)など上位資格への足がかりとして使えます
AWS公式は「1年以上のクラウドソリューション設計経験」を推奨しています。ただし前提条件はありません。IT未経験の方はCLF(クラウドプラクティショナー)を先に取得してから進むのがおすすめです。
私はCLFを飛ばしてSAAから受けました。結果的に合格はしましたが、責任共有モデルの問題で手が止まった場面がありました。基礎を先にやっておけばあの遠回りはなかったはずです。
試験の中身
SAAがどんな資格かわかったところで、試験の具体的な中身を確認します。
項目 | 内容 |
|---|---|
試験コード | SAA-C03 |
問題数 | 65問(択一選択 + 複数選択) |
試験時間 | 130分(1問あたり2分) |
合格スコア | 720/1000(換算スコア) |
受験料 | 150 USD(為替により変動) |
配信 | Pearson VUE(テストセンター or オンライン) |
有効期限 | 3年 |
出典: AWS公式 SAA試験ページ
4ドメインの出題比率
出題は4つのドメインに分かれています(AWS公式試験ガイド)。
# | ドメイン | 配分 |
|---|---|---|
D1 | セキュアなアーキテクチャの設計 | 30% |
D2 | 弾力性のあるアーキテクチャの設計 | 26% |
D3 | 高パフォーマンスアーキテクチャの設計 | 24% |
D4 | コスト最適化アーキテクチャの設計 | 20% |
D1(セキュリティ)とD2(弾力性)で56%。この2分野が合否を左右します。

では、実際にどんなサービスが出るか。合格者の体験記を読むと、頻出はEC2、S3、VPC、IAM、RDS、Lambda、CloudFront、SQS。この8つが繰り返し出てきます。
各ドメインの学習戦略は勉強方法ガイドで解説しています。
CLFとの出題スタイルの違い
CLFとSAAでは、問われ方が根本的に違います。

CLFは「S3とは何か」「責任共有モデルの範囲はどこまでか」のように、知識を単体で問います。対してSAAは違います。「月間100万リクエストを処理するWebアプリで、可用性を維持しながらコストを最小化するにはどの構成がよいか」。こんな感じで、複数の要件を同時に満たす設計を選ぶ問題が中心です。
加えて、問題文が長いのも特徴です。英語圏の受験者が「まず設問の末尾(kicker)を読んでから本文に戻れ」と助言するほど。日本語版は翻訳がぎこちない箇所もあるので、読みにくいときは画面上で英語原文に切り替えられます。
私の場合、SAAはそこまで難しくありませんでした。実務で触っているサービスの問題は、選択肢を見た瞬間にわかります。逆に触ったことがないサービスは、シナリオを読んでも手がかりがない。SAAは経験がものを言う試験だと感じました。
採点対象外15問の扱い
もう1つ知っておいてほしいのが、採点の仕組みです。65問のうち採点対象は50問。残り15問は将来の出題のための統計データ収集用で、受験者にはどれが対象外かわかりません。全問真剣に解く必要があります。
実際に受けたとき、まったく見覚えのない分野の問題がいくつかありました。たぶんあれが検証用だったんだと思います。トータルでは大丈夫だろうという感触でした。
難易度と必要な準備
試験の中身がわかったところで、次に気になるのは「どのくらい難しいのか」「どれだけ準備すればいいのか」です。
難易度の位置づけ
AWS公式は合格率を公表していません(FAQに明記されています)。ネット上で見かける「推定50%」「約70%」といった数値には根拠がないので、あくまで参考程度に。
他の資格と比べると、CLF < SAA < SAP。日本のIT資格でいえば基本情報技術者と同程度という声が多いです。しっかり対策すれば受かる試験ですが、対策なしで突破できるほど甘くはありません。
難易度の詳細は難易度と勉強時間で解説しています。
勉強時間の目安
難易度がわかったところで、具体的にどのくらいの時間がかかるか。経験レベルで大きく変わります。
レベル | 時間目安 |
|---|---|
AWS実務経験者 | 30〜60時間 |
IT経験者(LPIC-1, CCNA相当) | 80〜120時間 |
IT未経験者 | 150〜200時間 |
※日英46件の合格体験記から集約した目安です。個人差が大きいので、模擬試験のスコアで自分の仕上がりを判断する方が確実です。
私は800点行けばいいと思って受けて、結果は812点。まあ満足です。ただこれはAWS実務3年のベースがあってのことで、万人に当てはまりません。
具体的な学習ステップは勉強方法ガイドにまとめています。
費用の目安
勉強時間とあわせて気になるのが費用です。受験料に加えて、教材費や再受験のリスクも考慮しておくと安心です。
ルート | 内訳 | 合計目安 |
|---|---|---|
最安 | 受験料150 USD + 無料教材のみ | 約23,000円 |
標準 | 受験料 + Udemy講座2本(セール時各1,500円) | 約26,000円 |
万全 | 受験料 + Udemy + 書籍2冊 + 再受験予備 | 約55,000円 |

CLF合格者は50%割引バウチャーで受験料が半額(75 USD)になります。費用面でも、CLFから入った方がお得です。
教材の選び方はおすすめ教材まとめをご覧ください。
受験の流れ
時間と費用の見通しが立ったら、次は試験の申し込みです。
申し込みから受験まで
- AWS認定アカウントにサインイン
- Pearson VUEで「AWS Certified Solutions Architect - Associate」を選択
- テストセンターまたはオンライン監督を選び、日時を予約
- 受験料150 USD(税込 為替により変動)を支払い
- 当日、本人確認書類を持って受験
試験は通年実施で、テストセンターは24時間前まで予約できます。オンラインは当日予約も可能。
日本語受験の注意点
試験言語は日本語を選択できます。翻訳で読みにくい問題があれば、画面上で英語原文を表示可能です。
ただし注意点もあります。英語圏のReddit受験者によると、日本語版の翻訳がぎこちない問題が一部あるそうです。迷ったら画面上で英語原文に切り替えられるので、覚えておいて損はありません。
英語が母語でない受験者は、ESL申請で試験時間を30分延長できます。日本語で受験する場合は通常不要ですが、英語原文との併用で時間がかかりそうなら申請しておいて損はありません。
不合格だった場合
14日間の待機期間を置けば再受験できます。回数制限はありません。ただし再受験ごとに受験料が全額かかります。
不合格でもスコアレポートでドメイン別の強み・弱みがわかるので、弱点を集中補強して再挑戦してください。
結果の確認
詳細なスコアレポートは5営業日以内にAWS Certification Accountへ反映されます。テストセンターでは試験終了直後にPass/Failが画面に表示される場合もあります。正式な結果はメール通知後にアカウントで確認してください。
合格後のキャリアと更新
ここまでが受験までの流れです。SAAに合格すると、まず2つのものが手に入ります。
- 次回試験の50%割引バウチャー
- Credlyデジタルバッジ(LinkedInプロフィール等に表示可能)
次に目指す資格の選び方
SAAの知識をベースに、3つの方向に進めます。
- 設計を極めたい → SAP(Solutions Architect Professional)
- 開発寄りに進みたい → DVA(Developer Associate)
- 運用を強化したい → SOA(SysOps Administrator Associate)
- セキュリティを深く学びたい → SCS(セキュリティ スペシャリティ)完全ガイド
私はSAAの後、忘れないうちにDVAを受けました。SAAとDVAは共通する問題が多いので、間を空けずに受けるのがおすすめです。
資格の有効期限
有効期限は3年です。更新するには、SAA-C03を再受験するか、SAP(プロフェッショナル)に合格すれば自動更新されます。
どうせ次の資格を取る予定なら、更新のことは気にしなくて大丈夫です。
キャリアへの影響
資格を取ったら次に気になるのは、実際にどう活きるかです。SAA保有で応募しやすくなる職種は、クラウドエンジニア、ソリューションアーキテクト、SRE、DevOpsエンジニアなど。
私の場合、面談で「AWSを体系的に学んでいる」と評価されたことがありました。資格そのものより、学ぶ意思を示せたのが大きかった気がします。
ただし「資格=即戦力」ではありません。実務経験と組み合わせて初めて市場価値が上がります。
よくある質問
最後に、SAAについてよく聞かれる質問をまとめます。
Q. SAAは未経験でも合格できる?
はい。前提条件はありません。ただしIT未経験者はCLFから始める方が効率的です(AWS公式も推奨)。未経験から2週間で合格した体験記も複数あります。
Q. CLFを飛ばしてSAAから受けてもいい?
受験は可能です。IT経験者はSAAから直接受験する人も多いです。ただしCLFの基礎(責任共有モデル、Well-Architected Framework等)はSAAでも頻出します。基礎に不安があるならCLFの学習だけでもしておくと効率的です。
Q. 合格率はどのくらい?
AWS公式は非公表です。受験者の体験データから推定50〜70%程度とされていますが、根拠は不確かです。合格率を気にするよりも、模擬試験で80%以上を安定して取れるかで判断してください。
Q. 過去問はある?
AWS公式には非公開です。AWS公式練習問題集(無料20問)やUdemy模擬試験が代わりの定番です。詳しくはおすすめ教材をご覧ください。
Q. 受験料はいくら?
150 USD(為替により変動)です。CLF合格者は50%割引で75 USD。
Q. 日本語で受験できる?
はい。10言語に対応しています。日本語版で翻訳が不明瞭な場合は画面上で英語原文を表示できます。
Q. 有効期限は?
3年です。SAA再受験またはSAP合格で更新できます。
SAA合格後、機械学習エンジニアを目指す方は AWS MLA(機械学習エンジニア アソシエイト)完全ガイド を参照してください。SageMakerとMLOpsの実装が中心の Associate 級資格で、SAAで身につけたAWS基盤の理解がそのまま活きます。
ネットワーク特化を狙うなら AWS ANS(Advanced Networking - Specialty)完全ガイド も選択肢になります。VPC・Direct Connect・Transit Gateway の設計と実装で56%を占める設計者寄り試験で、SAAで身につけたAWS基盤の理解を、ハイブリッド接続・ネットワーク特化に深掘りしたい方向けです。
データ基盤・ETL/ELT を学ぶなら DEA(データエンジニア アソシエイト)完全ガイド も選択肢になります。Glue・Redshift・Athena を中心としたデータパイプライン設計が出題範囲で、SAAで身につけたAWS基盤の理解を、データパイプライン・分析基盤に深掘りしたい方向けです。
Speed Study編集部
AWS認定資格の学習をサポートするSpeed Study公式編集部です。